
環境に配慮しながら、安心で快適な暮らしが実現できる「GX志向型住宅」は、マイホームを検討している方にとって気になる存在です。また、国の補助金制度も受けられるので、予算で諦めている方にも魅力的でしょう。今回は、GX志向型住宅についてまとめてみました。補助金制度についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
GX志向型住宅の定義と条件
GX志向型住宅とは、優れた断熱性能と高効率な設備を導入した、環境にやさしい住宅です。ZEHや長期優良住宅と似ていますが、省エネ性能の基準や補助金などに違いがあるため、似ているようで異なります。
ここでは、そんなGX志向型住宅の定義と条件について解説します。
ZEHや長期優良住宅とは違う?
GX志向型住宅は、GX=グリーントランスフォーメーションの考え方を採用した、新しいタイプの住宅です。ZEHや長期優良住宅より優れた性能を有しており、一定の条件を満たしていなければGX志向型住宅とは認められません。
大きな違いは、省エネ性能の基準や補助金ですが、それ以外にも対象世帯が挙げられます。ZEH・長期優良住宅は子育て世帯に有効になるため、子ども18歳未満/夫婦どちらかが39歳以下の若者夫婦世帯でなければいけません。
一方でGX志向型住宅は、すべての世帯が対象になります。補助額についても、160万円/戸と100万円未満のZEH・長期優良住宅より高額でしょう。
なぜ建てられたのか
一番大きいのは「環境問題」です。昨今の地球温暖化やエネルギー資源の枯渇、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて誕生しました。
環境負荷を低減しながら断熱性能やエネルギー効率の高い設備を導入し、安全で快適な暮らしを目的としているのがGX志向型住宅です。
断熱性能等級6以上
GX志向型住宅の条件は、大きく4つ挙げられます。
まず、断熱性能等級です。使用する断熱材や窓の性能などを総合的に評価したもので、等級1~7まで定められています。これまで等級4が最高ランクでしたが、2022年4月と10月に等級5・6・7が追加され、GX志向型住宅は等級6以上でなければいけません。
等級6以上のメリットは、冬でも室温13℃を下回らないことです。エアコンを点けない状態でも一定の暖かさを維持できるので、寒い地域でも快適に過ごすことができます。また、エアコンを点けないことで電気代もお得になるでしょう。
ただし、地域によって求められる基準値が異なるため、適切な断熱性能を導入するようにしてください。
一次エネルギー消費量について
一次エネルギー消費量は、再生可能エネルギーの有無によってどれくらい削減できるかが変わってきます。
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力などの自然界に存在するエネルギーです。地球温暖化の原因となるCO2を排出しないので、環境にやさしいエネルギー源といわれています。
GX志向型住宅は、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を35%以上、再生可能エネルギーを含んだ場合は100%以上削減することが可能です。
前者は、高断熱や高気密設計、HEMS導入などの対策になり、後者は導入することで消費エネルギーを最小化できます。また、太陽光発電や燃料電池を活用してエネルギーをつくり出すため、光熱費削減にもつながるでしょう。
高度エネルギーマネジメント
高度エネルギーマネジメントとは、冷暖房設備や給湯設備などを制御するシステムのことで「HEMS」と呼ばれています。エネルギー消費を効率よく管理するため、GX志向型住宅にとって欠かせない要素です。
建築する際のポイント
GX志向型住宅を建築するには、メーカーが以下のポイントを押さえておかなければいけません。
1つ目は、GX対応の実績です。ZEHや長期優良住宅などの施工実績があれば、安心してお任せできます。LCC住宅の実績があるメーカーも高ポイントです。
2つ目は、各設備の環境性能です。断熱性や気密性など、高性能な住宅設計が可能か、太陽光発電や蓄電池などに対応しているかを確認しましょう。
3つ目は、補助金や優遇制度に精通しているかどうかです。GX志向型住宅は、これらを活用することで初期投資を抑えられるため、利用したいメーカーが制度に精通しているかも重要になります。
このほかにも、アフターサービスや保証、初期費用とランニングコストのバランスもチェックしておきましょう。
住むとどんなメリット・デメリットがある?
GX志向型住宅は、地球環境にやさしく安全性の高い住宅ですが、ほかにもさまざまなメリットがあります。一方で、初期コストの高さや立地条件の制約など、デメリットがあることも理解しておかなければいけません。
ここでは、GX志向型住宅を建てるうえで知っておきたいメリット・デメリットを紹介します。
メリット
GX志向型住宅のメリットは、主に3つあります。
1つ目は、光熱費の削減です。高性能な住宅設計とエネルギー効率のよい設備を備えているので、光熱費の削減につながります。また、太陽光発電や給湯器を導入すれば、毎月の光熱費を大幅に削減することも可能でしょう。長期的に見てもメリットになる住宅です。
2つ目は、環境への配慮と健康な暮らしを両立させます。高断熱性能なので冬でもエアコンを点ける必要がなく、さらにCO2排出量の削減にもなるため、環境への配慮も抜群です。
適切な換気システムを導入することで、室内環境が保たれ、アレルギー疾患のリスクも低減するでしょう。
3つ目は、資産価値の向上です。GX志向型住宅は、非常に高性能な住宅なので、今後の市場ニーズの高まりが期待できます。
また、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、ますます住宅の評価額が上昇する可能性も高いため、資産価値の向上・維持にもつながるでしょう。
デメリット
よいこと尽くしのGX志向型住宅ですが、初期コストの高さや設備の導入が必要など、デメリットも存在します。
建築に必要な条件をクリアしないと建築できないため、初期コストが高くなります。とくに太陽光発電は、太陽光パネルや蓄電システムにかかる費用が高額です。
しかし、長期的に考えると経済的メリットが高いので、導入して損はしません。最大160万円の補助金を受けられるのもうれしい点です。
先ほども述べましたが、GX志向型住宅には太陽光発電の導入が必要です。そして、設置するには十分な日照条件や屋根のスペースの確保が欠かせません。場合によっては発電がむずかしいため、自己判断で決定するのは危険です。
さらに、立地条件による制約もあります。日当たりが悪いと太陽光発電の効率が下がり、十分なエネルギーを供給できなくなるため、効果を最大限に発揮するには適切な立地選びが必要です。
併用できる補助金はある?補助金制度について
GX志向型住宅は、補助金制度を活用することで、高いといわれている初期コストを軽減できます。補助額は最大160万円、併用できる補助金を利用すれば、より賢く導入することが可能です。
ここでは、補助金について簡単に解説します。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は、省エネ性能を有した新築住宅やリフォームを支援するためのものです。GX志向型住宅は1戸あたり160万円が支給されるほか、すべての世帯が利用できます。
併用できる補助金
ほかの補助金と併用することは原則で禁止されています。ただし、地方公共団体の補助制度の場合、国費が充当されていなければ併用可能です。
蓄電池は「DRに対応したリソース導入拡大 + 支援事業(仮)」を費用の1/3以内で併用でき、キャンペーン(住宅省エネ2025キャンペーン)の補助対象が重複していない場合も併用できます。
補助金の対象外になることも?
「土砂災害特別警報区域」や「災害危険区域」などに立地する住宅は、補助金の対象外になります。子育てグリーン住宅支援事業の公式ホームページで確認できるので、気になる方はチェックしてみてください。
まとめ
地球環境にやさしく、エネルギー効率の高いGX志向型住宅について紹介しました。2025年からは子育てグリーン住宅支援事業の補助金制度も開始されるので、安心で快適な住まいを実現したい方は必見です。太陽光発電システムを導入すれば、ますますお得に生活できるでしょう。しかし、GX志向型住宅には、初期コストが高い・太陽光発電の必要性・立地条件による制約といった、デメリットが存在することも忘れてはいけません。トータルバランスを考えながら、ぜひマイホームづくりに役立ててみてください。